高野孝子の
地球日記

ヨセミテ国立公園で

 ヨセミテ渓谷の底に当たる湿原で。周囲は標高差1,000メートルのがけで囲まれています。
 7月5日から7日、かけあしでしたが、一度行ってみたいと思っていたヨセミテ国立公園をパートナーである大前と一緒に訪れました。

 クライマーたちに「ビッグウォール」として知られる、1000メートル級の垂直な花こう岩がヨセミテ渓谷を飾ります。3000年近く立っているという巨大なセコイアの杜と山火事のパートナーシップ、それを支える微気象も驚きです。

 二泊三日という日程だったので奥には入りませんでしたが、できるだけ人が少ない場所を求めて歩き回りました。

 到着した日は気温40度近く激しい太陽光が谷底に注いでいましたが、3日目は7月のヨセミテでは極めて珍しいという雨にあたり、ヨセミテのちょっと違った顔を見ることができました。セコイアの杜では周りの木々があまりに大きくて、小人になった気 分でした。

 ヨセミテ国立公園の南側にあるジャイアント・セコイアの森で。落雷による山火事が定期的に起きて、それが地表につもった落ち葉を焼き払い、露出した地表に落ちた種子が芽生えて森が再生するという循環が起きています。だから山火事を消すのはやめたのだそうです。火事で根っこが焼けて大きな空洞になったセコイアもいくつもありました。
 アメリカで始まった国立公園の概念ですが、ヨセミテはアメリカで3番目、1890年に指定となりました。

 年間オープンしていることもあり、訪問者数は年間約4百万人ということです。

 肉体を酷使したい人からほとんど動かないですませたい人、ほとんどお金を使いたくない人からぜいたくをしたい人まで、あらゆる人たちがそれぞれの予算で楽しめる ようにさまざまな工夫がされています。

 ブラックベアの被害が大きく、食べ物の取り扱いへの警告がいたるところに見られます。1999年は熊が食物を探して車を壊して進入するケースが1700件もあったそうです。

 アメリカ国立公園局では、wilderness原生自然の概念(人の形跡が少ないこと、静けさなど)を大切にしており、交通や宿泊数を制限したり、キャンパーの数もコントロールしています。よって、広大な自然の中に歩いてはいっていけば、静かな自然と の対話や交流ができるはずです。ところが宿泊施設周辺や道路近くは、特にヨセミテやグランドキャニオンのような人気があるところでは、人がごったがえす「観光地」で、遊園地もしくはテーマパークのようです。珍しい景色や動物、自然現象が、ジェットコースターやお化け屋敷に代わっただけみたいなものです。

 確かに教育的施設があったり、自然の中での適切な行動を促すサインなどはいいことなのですが、かえってそれが、「特別なところ」という柵を作ってしまい、その中と外をくっきりわけてしまっているようにさえ思えました。「自然」は自分たちの外側にあり、自分たちが暮らす街から出かけていくところという意識を際立たせ、よけいに人と自然をかい離してしまうようにも思えました。町の中と自然の中での行動 と、そんなに異なるものでしょうか?ゴミを出さない、不必要な大声をあげない、川の近くで汚物を流さない。。。

 アメリカの国立公園を訪れたのは3ヶ所目ですが、国立公園という概念の素晴らしさと皮肉さに思いをはせました。 (2001年7月10日記)

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