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高野孝子の 地球日記 |
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イグルーリクの村から
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二人のイヌイットは私にこう言って大笑いした。 4月末から北緯69度に位置するイグルーリクという島に来ている。島は東西に19キロ、南北に10キロ、馬蹄型をしていて真ん中が大きくえぐれた湾になっている。 1970年代からの長年の議論の末に、カナダ北部の広大な領土が先住民族のイヌイットたちの領地として独立した。1999年4月、ヌナブート(私たちの大地)と呼ばれる地域になった。カナダに属しているが独自の議会と首相を持ち、自分たちに関する多くの政策を自ら決定できるようになった。イグルーリクもヌナブートの28のコミュニティの一つだ。 日本では摂氏30度を超える日も出てきたと聞いたが、ここではまだ零下の世界。今朝は昨日よりずっと暖かいけれど零下4度だ。島を囲む海は見渡すかぎりきっちりと凍っていて、人々はスノーモービルで移動する。
あと一、二週間もすると本格的な春だそうで、するとここの住民1400人のほとんどが待ちかねたように「春のキャンプ」に家族こぞって出かける。家族によっては二ヶ月間以上、ほとんどキャンプで過ごすという。 まだまだ海は凍ったままだが、うららかな日差しの中でアザラシや鳥を狩る。獲物を料理して、自然からの恵みをたっぷりと蓄える。「とってもたくさんの鳥が来るのよ。ただ声を聞いているだけでとっても幸せ」と40代の女性。 ずっと外で過ごすので、みんなの顔が日焼けで真っ黒になるのだ。そうでなくてもたくさんの人たちの顔はすでに真っ黒だけれど。毛皮の服を着ているので首から下は白いままなのがここの日焼けの特徴だ。 ここには大学の研究の一環でやってきた。
彼らの考え方も社会もキャンプも環境も大変興味深く、深く理解するためにはもっと長く滞在したいところだが、今回は残念ながら5月末には英国へ帰国する。
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