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高野孝子の 地球日記 |
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英国流環境保全とベインファーム
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英国の環境保護運動の歴史は長い。伴って、今「環境教育」と呼ばれるものが始まったのもずいぶん昔だ。 17世紀には野鳥や生物に興味を持つ人たちがクラブを作り始め、現代の環境保全・保護につながる動きもその頃にさかのぼる(ただし英領インドで)。1870年代にはすでに運動として認識されている。これは、英国が世界でもっとも先に産業化し都市化し、自然環境が変えられていったことと深い関係がある。
日本の約0.7倍の大きさを持つ英国の自然環境のほとんどすべては、人の手によって大きく変えられている。ネイチャーリザーブ(自然保護地域)も、時には大掛かりな仕掛けで人間が関与し、ようやく形を保っているところが多い。
それにしても人間が木を切り羊を放し、管理して造られた田園光景は、英国人のあこがれだ。田園地域や森、海辺はとても人気のある訪問地だ。ガーデニングは国民的趣味だし、生徒が野外授業で使う日数は推定で年間延べ300万と言われている。
環境保全・教育団体の歴史も当然長いが、驚くのはその大きさだ。
RSPBは全英に176ヶ所のネイチャーリザーブを持つ。
薄曇りで気温は15度くらいだろうか。受け付けを終えて外に出て、道路の下をくぐるようにできているトンネルを抜けてリザーブの中に入る。歩道の両わきはちょうど人の高さくらいの盛り土がされていて、湿地側は何も見えない。鳥を脅かさないための配慮だ。
最初のハイドには、エジンバラの10キロほど東の町から来たという初老の男性が、じっと双眼鏡をのぞいてはメモを取っていた。続いて入ってきた地元に暮らす女性は、大きな望遠カメラをセットした。
再び外に出ると、メイフライ(五月バエ)と呼ばれる小さな虫が多量に空を飛び交っている。鼻から入って来そうで、息を殺し口をふさいで歩いた。
再びトンネルをくぐって湿地を後にし、山を目指した。
森に入ると、カバなどの広葉樹が植林されている。時折ある木の名前の表示や、鳥の説明、巣箱の説明などを読みながら、頂上まで細い山道をたどって約30分。あたりには羊が草を食んでいる。展望を遮るものがないので見晴らしがいい。
人間の活動と保全地域を遮断し、野鳥を楽しむためには鳥と人間との間に壁を作る。水位を人工的にコントロールして水鳥の営巣に最適な環境を作るなどしながら、鳥の種類は確実に増え、2002年には145種類の鳥が記録されている。
もはや野生生物は人から切り離さなければ守れないのか。人工的に維持された環境を作らなくては野生動物も生存できないのか。ひとはそこまで地球を変え、動物とたもとを分かっているのか。もう「野生」が「自然に」存在できないのだろうか。 「環境保護」の考え方については世界中でさまざまな議論がある。徹底した技術管理による環境保全のやり方や、ここに見える人と自然の関係の捉え方がいかにも英国的だと感じた。 最後に、ビジターセンター二階のコーヒーショップに入って驚いた。
望遠鏡は大変性能がよく、遠くにいる鳥たちの表情までくっきりと大きく見える。まず白鳥が二羽、じっと水面に浮かんでいるのがフレームに入っていた。そして少し動かして思わず声を出した。アカギツネがじっと立っていた。何かを狙っているのだろうか。動き出した。その手前にウサギがいるのがわかったが、キツネはウサギに関心を示さずに移動してとうとうぴょんと飛び跳ねて、起伏のある反対側へ姿を消した。
「こりゃあ、おもしろい」。
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